ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

「どうして私が商開部に行かされるのか、未だによく理解できてない……」


真綾に愚痴っても仕方ないのは知ってる。
頑張っていこうと決めたばかりだから、文句を言うつもりもない。


「祐輔さんサプライズが好きだから」


そんな理由で異動なんてあり得ない。


「日頃から蛍の検品書は見易いって言ってたのよ。『図説で解説されてるから商品の改善箇所が見ただけで分かる』って」


「へぇー。やるじゃん、ケイ」


聖が意外そうな顔をした。


「そ、それは一応大学でデッサンの授業とかもあって、字で説明するよりも図の方が早かったからで……」


特別なことをしてるつもりはなかった。
私の検品書が社長のところまで回ってるのも知らなかったくらい。


「改善する所が試作段階で分かれば経費の削減にも繋がるでしょう?だから商開部の一員に加えてみたらどうかと言ったようなの」


真綾の説明を聞いて、ようやく異動の理由は解明できた。
でも、私一人が移ったくらいで経費の削減に繋がるとは思えないけど。


「重荷〜〜」


思わず本音を漏らした。


「まぁそう言わずに頑張って。祐輔さんも期待してるみたいだったわよ。でもね…」


お箸を持ってた手が止まる。
真綾の方に振り向いてみると、なんとなく浮かない表情をしてた。


「副社長は朝からイライラしてて」


「えっ…」

「なんで?」


私達の話を聞きながら黙々とランチを食べてた聖までが聞く。