ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

お昼休みを迎え、カフェテリアのテーブルに上半身を伏せた。


「はぁ〜〜」


思いきり安堵する。


「お疲れ、お疲れ」


向かい側の席に座った聖が可笑しそうに笑う。


「ホントに疲れた〜〜」


午前中いっぱい緊張のし通しだった。
殆ど喋りもしなかったのに、喉が渇いて仕方ない。


「まぁ食べよ」


ほらっ…とトレイを前に差し出す。
上に乗ってるのは日替わりランチ。
あさりのパスタにミニサラダ、玉葱のスープにオムレツ。


「ごめん。ありがとう。いただきます…」


手を合わせてフォークを握った。
握ったけど、出るのは溜息ばかり。



「混ぜてもらっていい?」


頭の上から聞き慣れた声がする。


「真綾!」

「おかえりー!」


どうぞ、どうぞ…と席を空ける。
社長秘書をしてる真綾だけど、時間が取れる時にはこうして一緒にお昼を食べる。
先週は1週間、社長に同行出張していた。
だから顔を見るのは10日ぶり。


「真綾、聞いてる?」


聖が私をチラ見して聞いた。


「ああ、異動のこと?聞いてるよ」


ニコッと微笑む彼女のキレイなことと言ったら格別。


「いきなりで驚いたでしょ?私も聞いて、『えっ!?』って叫んじゃった」


「おかげで今クタクタ……」


フォークは持ってるけど、食べる気にもならないくらい。