ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

連れて行かれた先は、叔父さんの部署でもある『商品開発部』
自社製品の開発に取り組んでる部署で、この間行われたホビーショーにも参加した。


「あ…あの……?」


どうして私がここに呼ばれるの?


「皆聞いてくれ。今日から新しく仲間に加わる乃坂蛍さん。僕の姪だがその辺は気にしなくてもいいから」


えっ!?
どういうこと!?


「お、叔父さん…?」


しまった。
役職ぶっ飛んだ。


「ほら、挨拶して」


あ…挨拶と言われても困るんだけどぉぉ?


叔父さんの目線で前を向くよう促された。
困り果てながらも向き直ると、目の前にはポカン…とした顔の人達がいて。


「おお、おはようございます……の、乃坂…です…」


紹介はしてもらってるというのに再度した。
でも、次の言葉がなかなか出てこない。



「よ…よろしく…お、お願いしま…す……」


ようやく出てきたと思ったけど、コレってなんかの罰なわけ!?


(あっ……もしかして、副社長と付き合ってるのがバレたとか?)


会ったのなんて数える限りだし、大抵は自分らしくもない格好でいたんだけど?



「よろしくー!」

「一緒に頑張りましょう!」


異世界だと思ってた方から声が聞こえた。
驚いて顔を上げると、皆がにこやかな笑みを浮かべてる。




(わぁ…)


もの作りをしてる人達にオフィスで会うのは初めてだった。
大学ではデザインを専攻してたから改めて新鮮な気がする。