学生時代にもこんなことをしてくる友人などいなかった。
全てがあの頃とは違う。


「幸せそうね、ケイ」


ニヤつきながらも聖の目に涙が浮かんでる。


「全部聖と真綾のおかげだから」


そんな顔をするからこっちまで涙が滲む。


「なんの、なんの!それで?」

「えっ?」

「どういう男?その「谷口さん」っていうのは?」


谷口という名前にギクッとした。
そう言えば二人には、彼がオフィスの副社長だとは話してない。

真綾は彼から何か聞いてるかもしれない。
でも、何も言ってこないということはまだ知らないっていうこと?


「ど、どういうって、ふふ、フツーの人、だけど……」


吃ってしまった。
妙に肩に力が入る。


「前にも聞いたけどイケメン?写真とかないの?」

「しゃしゃしゃ…写真!?」


頭の中にプリクラのことが思い浮かんだ。
スマホのカバーの後ろにこっそり貼って持ち歩いてはいるけど……


「ま…まだ撮ってない!」


思いきり慣れないウソをついた。
お陰で心臓が余計に速く鳴る。


「でで、でも、イケ…イケメンだと思う!」


少しだけ事実を言っておこう。
そうすれば罪悪感が減るから。


力んで言うもんだから声が大きくなってしまった。
すれ違う人達から見られ、顔がスゴく熱くなった。


「ふぅん」


意味深な顔で納得!?


「そっか〜。イケメンなんだ〜」


聖の言い方って何!?