ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

思わぬお礼に凝縮した。
私は単純にステキだと思っただけ。
心あったまる話に感動しただけだ。


「……でもな、俺まで養子にと言われたときは迷った。アル中だった男の子供が企業のトップの息子になるなんて、イメージダウンもいいとこだろ?」


どこで迷惑をかけるか知れない。
自分の父親は借金だらけで、姿をくらましたような男だったから……と付け加えた。


「それでも俺の気持ちを知ってるみたいに拓磨さんは言ってくれた。『何があっても君達のことは守る。だから、君らの人生を俺に賭けてみないか?』って」


男気のある言葉に揺れた。
高校が変わることを躊躇ってたら、親友の羅門さんが背中を押してくれたんだそうだ。


『行ってこいよ!お前がどこの誰になっても、大輔には違わないだろ!』


「金持ちになったら人助けしろって笑うんだ。ハデでヤンキーみたいなヤツだったけど、ホントに最高の友達でさ…」



「イイ人ですね」


私にとっての聖と真綾みたいだ。


「おかげで未だに頭上がらねぇ。精一杯アイツの前では強がってるけど、後からいつもからかいのネタにされるんだ」


無邪気な笑顔を見せられた。
心があったかくなる話を聞いたのに、ナゼか涙が溢れてしまい……



「ケイ…」


「すみません。なんだか胸がいっぱいになってしまって……」


羨ましくて仕方ないのに涙が溢れてきてしまった。
いろんな苦労をされてても、報われてる今があることが羨ましい。