「轟さん……」


いい加減にタネ明かしをしようよ。


「私のこと見てたってどういう意味?…貴方は一体誰なの?」


その風貌には意味があるの?
この間着てたスーツの方が、ホントの貴方じゃないの?

隠さないで欲しい。


「教えて下さい。全部……」


キュッと風鈴を手の中に包み込んだ。
コロッと鳴った鈴の音は、その後もずっと鳴らずにしまい込まれた。


谷口だった人の顔が曇った。
言いにくそうに表情を渋らせ、目線を滑らせてから始まった。


「俺はケイと同じ会社に勤めてる。代表取締役をしてるのは俺の兄貴だ……」



昔話ではなく現代の話。


私の恋が終わろうとしていたーーー。