「怒るなよ。美人が台無し」


美人なんてお世辞にも言わないで。
飾ってもない私が、美人なはずがない。


『ジャリ…』


悔し紛れに下駄の底を擦った。
地面に積もってる薄い砂利が、その拍子に音を立てる。


手を引いたまま谷口が階段を上り始めた。

それに合わせながら自分も階段を上って行った。