ただあの子になりたくて



すぐに耳元の音は電子音に切り替わり、スマホをベッドに投げ出した。

どうやら私はまだ瀕死の状態で生きているらしい。

私が椿になっても、自分が生きていることには驚いた。

こんな願いが本当になるのなら、あの悪魔に詳しいことを聞いておくべきだった。

けれど仕方ない。

私は立ち上がり、クローゼットを開け放った。

*・*・*・*・*

バスから降り立つと、剥き出しの腕を涼やかな風が撫でた。

空はパステルブルー一色の晴天だけれど、風はすでに秋を運び始めていた。

少し夏らしすぎただろうか。

胸元にフリルのあしらわれたミント色のミニ丈のワンピースから長い脚が出すぎて、裾を引っ張った。