ただあの子になりたくて



耳元で割れる蒼介の大きな声に、スマホが手から危うく滑りかけた。

予想とのあまりの違いに頭が真っ白になる。

私はすっかりしどろもどろになる。

「え、何が? え、どういう?」

「事故にあったんだ、なずなが。大変な状態らしい」

あまりに切羽詰まった声だった。

誰にでも優しい彼らしい。

でも、私は落ち着き払ってスマホを耳に当て続けていた。

驚きの声すらあげない私を不審がる余裕もない彼は、尚も焦って話す。

「これからなずなのいるN市の総合病院に行く。椿も行くだろ。病院前で落ち合おう」