ただあの子になりたくて



着信画面に、真木蒼介の文字。

ついスマホを強く握りしめ、苦笑いを零す。

やっぱりだ。

今日があの晩の翌日なら今日は土曜。

デート前の電話だろうか。

後ろめたい思いなんて一瞬で消える。

私の心には悪魔が住んでいるのだから。

気づいた時には、人差し指が通話ボタンをドラッグしていた。

今から聞こえてくる蒼介の声に、もう胸が高鳴り始める。

「もしもし、そうす……」

「何してるんだよ、椿! もう何度もかけたんだぞ」