ただあの子になりたくて



「君はそう言うけど、一年以上も前から一緒に仲良くしてきたんだよね。だったら、同じ女子なら、勘で君の想いにくらい気づくだろう? 椿はわかっていて、彼と付き合ったんだ」

はっと目を見開く私。

真ん前で私の真っ黒な目玉が、私をなめまわすように見つめている。

私の真意を探るかのように。

それでも私は、弱弱しく食い下がる。

「そもそも、私と蒼介は……なんでもないし。椿ならしょうがないでしょ」

言っていて、胸の奥がずきりと痛む。

けれど誤魔化すために笑い、茶化す。

「私は雑草と同じなずななんて名前で、向こうは綺麗な椿なんだ。当り前でしょ」

私はせいぜい道化になるしかない。