「そんなこと……! 椿はそんな子じゃない。椿は、こんな私ともすごく仲良くしてくれた! あれは嘘なんかじゃない!」
そいつに付け入る隙を与えないように、次々に言葉を重ねる。
椿は長い黒髪が似合う美人で、成績も優秀でクールに見えた。
でも本当はすごく明るくて元気な女の子だった。
初めて会った時だって、その容姿を少しも鼻にかけていなかった。
『なずなちゃんって名前、すごくかわいい! よろしくお願いします!』
頬を赤らめて律儀に頭を下げてくれた彼女は、女から見てもいとおしくなるほどかわいくて、すぐに友達になれた。
それはもう、私にはもったいないくらいの友達だった。
そんな椿のことを、どうしたら悪く言えるだろう。
私には言えない。


