ただあの子になりたくて



私はただただ目をみはった。

悪魔にも、おとぎ話みたいな台詞も、くだらないと思って聞いていた。

どうせ夢の中のことと、まともに取り合う気などさらさらなかった。

けれど今、私の姿をしたものが、無力に背中を丸めて孤独に座っている。

私が何度も何度も打ち消そうとした思いが、目の前で次々に紡がれる。

「なのに、子供を愛さないのは、親の大きな大きな罪さ」

そして、その全部の言葉が、こんな私を受け入れていく。

いつの間にか、聞き入らずにはいられなくなっていた。

「椿のことだってそうさ。君たちはどういう仲だった?」

また、その名に戸惑ったけれど、ゆっくりと口にした。