ただあの子になりたくて



それも私の顔で自信満々に笑うから、たまらなく恥ずかしい。

「ははっ。お願いだから、夢でももう少しマシな嘘を……」

「信じなくても僕は構わないよ。でも、これは言っておく」

私はぷつりと言葉を切った。

すっくと立ちあがるそいつ。

さっきまでとは別人のように、前髪で陰ったその瞳で、私を冷淡に見下ろした。

「君は今、死に際のふちに立っている。この何もない場所は君の意識の中だ」

頭の奥にまで響いてくる重みのある声に、私は自然と黙り込んだ。

そいつは決して逸らすことなく、真っ黒な瞳で私を真正面からとらえ続ける。

「このままぼやぼやしていたら、今の君の意識も消え、本当の死を迎える。その意味をちゃんとわかっているかい?」