そうだ。
今までの私はいつだって、誰かに声をかけてもらいたくて、一人では怖くて、ずっと誰かの手を待ちながら生きていた。
私の一度きりの人生は泣いても笑ってもこれで終わりだ。
だから今度こそ、私は困っている私に手を伸ばすのだ。
もう一人の私が震える両手を懸命に前へ出してくる。
あの今までの私が必死になって手を伸ばしている。
私は堪えきれずに駆けだした。
「つーかまえたっ!」
全身でぶつかって、私は私を抱きしめる。
目をつむって、体全部で受け入れる。
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