彼の背が徐々に力なく丸まって、その凛々しさに陰りが出てきた気がした。
けれど彼にだけは、かけるべき言葉が見つからない。
ずっとずっと見つめ続けてきたその広い背中を見ているだけで、想いがこみあげてきてしまうから、見ているだけで精いっぱい。
こうして祈りに来てくれることも、あの演劇の舞台の上でかけてもらった言葉も、私には身に余りすぎるほどの幸せで、嬉しくて切なくて仕方ない。
私はその幸せの一部すらも返せないままいくのだ。
彼が、私のために悲しみに俯くことがないよう、今の私は祈ること以外出来ない。
でも彼の肩はもっと丸まり震えだしていた。
踏切に、たった一人で花なんてそなえて立ち尽くす彼。
私はそんなところにはいないのに、いつまでもいつまでも祈ることをやめない。
空いている踏切を歩いていくおばさんが振り返っても、自転車で颯爽と過ぎ去られようとも、車で通っていく人に注目されても、彼はそこから動かない。


