*・*・*・*・*

本当はわかっていた。

必死に、気づかないふりを決め込んできた。

気持ちを押し殺して、いつも笑顔を作ってきた。

それは全部、この夢を少しでも長く見続けるため。

何ももっていない私は、そうするしかなかった。

それでも、幸せだった。

たとえまやかしでも、この夢が続くなら、私はそれだけでよかった。

けれど、それさえも、もう終わり。

その時は、わかりきっていたことを、意地悪く、わざわざ見せつけにやってきた。

現実はいつだって、夢を残酷に切り裂いていくものだ。