ただあの子になりたくて



「こんな私を見つけてくれてありがとう。蒼介が見つけてくれなかったら私、いつも独りぼっちだった」

高校に入学して私を仲間に誘い入れてくれたときも、中学で初めて、私へ声をかけてくれたときも。

彼はいつもその人懐っこい笑顔で私を迎え入れてくれた。

「私一人だったら、あんなに素敵な仲間もできなかった。蒼介がいたから、ふがいない自分を、少しだけ好きかもしれないって、思えた瞬間があったよ……」

今でもそのどれもの瞬間が輝かしくて、眩しくて、目を細めてしまうほど。

彼との記憶すべてが宝物だ。

すると彼は目を大きく泳がせて、私の顔をまじまじと見た。

「お前……、椿じゃないよな……? お前……」

小さな限られた暗がりの中で、言葉を紡ぐ蒼介の唇が震える。

私は切なくて思わず、ナイフを更に手前へ音を立てて引き、眉根を寄せる。