ただあの子になりたくて



私はぎゅっと眉間に力をこめる。

決して手に入らないそのどれもが愛おしい。

昨日、あんなことになってしまったのに、最期にこんな時間がもらえるなんて私は幸せだ。

存分に目に焼き付ける。

大切な彼を決して忘れないように。

私のどうしようもないこの想いも、どうせならなくさないように。

もうそろそろ時間だ。

不審に思ったのか彼の唇がピクリと動く。

会場に満ちた沈黙が張り詰める。

これ以上はもう無理だ。