ただあの子になりたくて



「そう、きっと、きっと大丈夫よ。辛かったわね。頑張ってたのね。でも今度は絶対に連絡を入れるのよ。大事なお友達のためならなおさらよ」

椿のお母さんはなおも、そんな私の背中を元気いっぱいに叩いてくれる。

目の前で、何にも負けない強い光を放つ笑顔がはじける。

その光に心は震える。

私は不器用に、声もなく、深く頷いた。

これ以上絞り出せない、ごめんなさいをありったけ詰め込んで。

「さあ、お風呂できてるから、あったまってらっしゃい」

天真爛漫な声が玄関に満ちる。

椿のお母さんは自分が靴下のままであることも忘れて、私の後ろに回って背中を押す。

私は勢いに気おされて、あたたかい手に押されるがまま、余所者はまた幸せの家へ上がり込んだ。