ただあの子になりたくて



背中を強く押す、力強くてあたたかいいくつもの指先。

冷えた首筋をあたためる荒い息。

そのどれもが、お互いの存在を確かめ合っている。

罪にまみれた私が今、大切に抱きしめられている。

「よかった。私も母さんも近所を走って探したんだぞ。本当に良かった」

抱きしめられる肩越しに、幾度も確かめるように頷くスーツ姿のままのおじさんが立っている。

椿のお父さんも、会社から帰ってきたまま、ずっと心配していたのだ。

やっとどうにか涙が止まったはずなのに、その眼差しが優しくて、痛いくらいに強い腕が温かくて、視界の端から滲み出す。

「ごめん、なさい……」

かっこわるく音を立てて鼻をすすりながら、私は呟く。