ただあの子になりたくて



やっとだ。

初めて、両親を正面から見た。

いつも斜めから、歪んだ姿ばかりを見てきた。

でも、今回のは本物だと、私でもわかる。

私の胸に、どこまでも重く、深く、あの言葉がうち込まれているから。

『私が代わりたい。代われるもんなら、私がなずなに代わりたいっ……』

唇をしっかりと閉ざしているのに、情けない嗚咽が漏れ出る。

胸が張り裂けそうに痛くてたまらない。

ずっと高いところで光る街灯を睨み上げる。

私はずっと、光り輝く何かに、自分よりも圧倒的に勝る何かになりたいとばかり思ってきた。