*・*・*・*・*

長い髪の毛先から、丸い雫がしたたり落ちる。

微かに手のひらを天に向けてみるけれど、冷えたその手には何の雫もふり落ちない。

雨は上がったのに、馬鹿みたいにずぶぬれな私は、アスファルトをまた濡らす。

重い頭をやっと上まで上げて、私は睫毛を震わせた。

視界を埋め尽くす、どこまでも深い藍の空。

どんな絵の具を混ぜようと、明るくはなれないほどの暗い世界。

大きく欠け落ちた、線のように細い三日月だけが、心細く光っている。

私の睫毛の先についた涙がぼやけてきらめいて、私は手で払った。

でも、瞼のふちに涙がまたせりあがる。