逃げんなと私は、あの日踏みつけた踵を見る。

金切り声を背中に突き刺してやる。

「待って! 教えてよ! 教えなさいよっ! 私が、自分の体に戻る方法。何か、何かあるんでしょ⁉」

もうなりふり構わない。

悪魔だろうが何だろうが関係ない。

私はなにがなんでもこの体を椿に返す。

「うるさいな! 自殺したような君には絶対無理だ」

頭奥までしびれる怒鳴り声。

憎らし気に地を踏みしめて私に向き直るそいつは、顔を目いっぱい歪めて私を恨めしそうに睨みつけた。

折れそうになるけれど、私は懸命に見つめ上げる。