ただあの子になりたくて



私は目をカッと開いた。

怒りに瞳が揺れまどう。

「何よそれ! そんなのないっ……」

「それが契約というものさ! 君は何もわかっていない。君は不思議に思ったことはないのかい?」

私の言葉をすっぱりと切られる。

そいつのあらぶった声が初めて轟いた。

この間も、今日も、のらりくらりのんきに話していたやつが、感情をあらわに、眉間へ深くしわを寄せている。

私は圧倒されて何も言えない。

立ち上がり、気難しく腕を組んで、苛立ちを鎮めるようにいったり来たり同じところを歩き出す。

「おかしいだろう。椿という他人の体に、君の魂がすっぽりとおさまって、自由に動けていることは」