ただあの子になりたくて



もうどうにもならないことを言い争っても仕方ないのに。

というかむしろ、これまでの私の傷がどんどん抉られて痛みが増していくだけ。

拓斗が口走りかけたあの日の記憶も、蒼介が懸命に美化している仲間としての私も、ただただ恥ずかしいだけ。

やはり真実が明るみに出たところで、嫌なことばかりだ。

もういい加減私は、宮里なずなから解放されたい。

でも、まだ続くらしい。

蒼介は小さくて質素な待合スペースの真ん中に立ち尽くしたまま、頑固にも首を横へ振った。

そして、一つ一つ、自分の想いを手繰り寄せながら、言葉を懸命に絞り出すように彼は言う。

「やめない……! 何か、何か……、俺らが、なずなにできることがあったはずだ」

私は深くため息をつく。