ただあの子になりたくて



私は俯いて目をぎゅっと閉じる。

胸がきりきりと痛む。

「俺らの気づかないとこで、なずなはきっと……」

「だからやめろって‼ そんなこと言ったら、俺……!」

拓斗の低い声があたりにこだました。

驚いて前を向けば、肩で大きく息をしている拓斗。

蒼介を、うるんだ瞳で精いっぱい強く睨んでいる。

私はますますひどくなる胸の痛みに耐えるように、制服のスカートをきつくきつく掴んだ。

不毛な会話だと思った。

死にそうになってからの方が、私はヒロインみたい。