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ブラウスの袖を手の甲にまで引っ張った。

窓の向こうには、一面に広がるべったりとした灰色の空。

肩越しにひんやりとするガラスは、静かに無数の透明の粒をつけて濡れていた。

そして耐え切れなくなった雫たちは次々に、涙のように流れ落ちていく。

私は視線を外すと鞄を持ち上げ、すぐに席から立ちあがった。

こんな雨の日は、胸がざわつく。

最近の私は自分に振り回されっぱなしで、まともな自分でいられていない。

せっかく椿になれたというのに、もったいないことこの上ない。

私はふがいなく、手持無沙汰な手で前髪をいじる。