ただあの子になりたくて



恐る恐るシェイクのカップの上に、拓斗の顔を覗き見る。

すると拓斗はほとんど顔を埋めていた包み紙から顔を表して、目を丸くした。

「は? そんな顔してどうしたんだよ。ただの例えだろ」

私は少し首を傾げて、向き直る。

では、私の秘密がばれたわけではないのか。

でもほっとなんてできない。

私はヒロインらしくしているだけ。

いつも見てきた椿のように、明るく、物おじせずにふるまっている。

だから、拓斗の言いたいことが分からなくて、つい強く見つめ返す。

拓斗は最後の1口を食べきると、ため息とともに包み紙を丸めこんだ。

「椿のくせに余裕なさすぎだ。第一、俺と2人でこんなとこ来たことないだろ」