ただあの子になりたくて



注文カウンターの奥の厨房で、タイマーの電子音が鳴り響いていた。

あの後すぐにここへ場所を移した。

小さな四角いテーブルの向こうで、包み紙を騒がせながら拓斗はハンバーガーにかぶりついている。

私はカップに刺さった動きの重いストローを、それでもぐるぐると回している。

シェイクはまだ固くて、飲むのが面倒くさい。

その動作にも限界を感じると、拓斗の靴にぶつかりそうな、履きなれない自分の綺麗なローファーをぼんやりと見つめた。

その綺麗な爪先で床を強く踏みつける。

一生懸命、椿というヒロインの座を演じているつもりなのに、一体何が違うと言いたいのだろう。

私はもう立派なヒロインのはずなのだ。

「ねえさっきの、どういう意味?」

聞いたら危険かもしれないのに、低い声が絞り出る。