君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】



「ね。やっぱ付き合った?」

なんてこそこそ耳打ちして来る。


「付き合ってません」


同じように小声で話すと、里緒は驚いたようだ。
眉間に皺を寄せて聞いてくる。


「何で?好き同士でしょ?」

「だって、私がまだ好きかわからないし」

「いや、何言ってるの」

「槙野くんの事、何も知らないんだよ?話す様になってまだそんな経っていないのに」

「……あのさあ、好きになるのに相手を知ってからじゃなきゃダメなんてないと思うんだけど?」

「え」

「まあ、いいや。担任来たし、また後で。会議開こう、会議」


そう言うと、里緒は前を向いて話を強制的に終わらせた。


……好きになるのに相手を知らなくてもいいって事?


槙野くんの気持ちがストレートだったから、私も同じぐらいの気持ちじゃなきゃダメなんだと思っていた。
授業が終わるまで私はずっとそれが頭の中でぐるぐるしていた。


チャイムが鳴って先生が出て行った後、すぐに里緒が私の手を取ってトイレへと連れて行く。

教室を出て行く時、槙野くんと目が合ったけど不思議そうな顔をしていた。


トイレに到着すると、里緒は鏡の前に立った。
それから手ぐしで髪の毛を整えながら話し出す。