「もう、あんな言い方したら里緒がまた勘違いするし」
槙野君にも文句を言わないと。
「ん?だって、長田さんのお陰で藤さんの本当の気持ちが聞けたんだから。
“ありがとう”でしょ?」
「……そうだけど」
確かに、あそこで里緒がいなくならなかったら私は自分の気持ちを伝えていなかったと思うし。
これに関しては感謝なのかな。癪だけど。
それを素直に言ってしまえるのは、槙野くんだからだと思う。
「もうすぐ授業始まるから、藤さんも自分の席に戻った方がいいよ」
「うん。勉強教えてくれてありがとう。数学めっちゃわかりやすかった」
「いいえ、またわからない事があれば聞いて」
「うん!」
そう言って私は教科書やノートを持つと自分の席へと戻った。
そこに待ち構えているのは里緒だ。



