「槙野くんの普通が普通だよ。他に合わせる必要なんかないよ。
ね、槙野くん目玉焼きに醤油かける人?」
「うん。そうだけど」
「私ね、ケチャップかけるんだ」
「えっ」
驚いた声を出す槙野くん。
「ねっ、自分の普通は他人の普通じゃないってわかった?」
「…………」
ニカって笑うと槙野くんは顔を俯かせる。
それから、ゆっくりと顔を上げてぽつりと呟くように言った。
「目玉焼きにケチャップって美味しいの?」
「うん。美味しいよ。今度してみて」
「わかった。かけてみる。
僕も藤さんの“普通”を味わいたい」
「昔は醤油かけてたんだけど、ケチャップかけたら美味しくてさ」
「でも、ハンバーグの上に目玉焼き乗せてケチャップかけたりするし、おかしくないのかな」
「そうそう、それのハンバーグ抜き!」
「あはは、メイン抜いちゃうんだ」
二人して顔を見合わせて暫く笑っていた。
学校に到着してから教室へと向かう私と槙野くん。



