君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


「まさか。槙野が突然変わったのって瑠美子の影響?」

「いや」


そうやって言葉を濁しながら、私は考えた。
影響と断言していいのか。
でも、私の為に変わりたいと言ってくれたから、そうなるのかな。


私の返事に里緒は腕を組みながら、難しい顔をする。
それから、何かを思いついたみたいで一度ぱちんと手を打った。



「なに、二人付き合ってんの?」

「えっ!?」

「そっか、それなら仲良く話してても明るくなったのも納得」


何故かおかしい方向で納得する里緒。
慌てて私は否定した。


「いや、違う、違うよ?」

「え、違うの?」

「うん、違う!」

「違うのか……」


楽しそうに笑っていた里緒はどこか残念そうに呟く。
私と彼が付き合っていたら面白いとでも思ったのだろう。


でも、そこはちゃんと否定しておかないといけない。
まだ付き合っていない。