君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


「社会に出たら凄い役立つ才能を持っているかもしれないよ?
槙野くんはもっと自分に自信持っていいと思う」

「…………」


口を噤んだ槙野くんに私は続けた。


「だから、あんま自分をダメだって言わないで」


槙野くんはいつも自分がダメな所為でって自分を責めている。
そんな事ないのに。


私は今の槙野くんに会いたいって思ったんだ。
変わった槙野くんじゃない。

今の槙野くんに。



「……参ったな」


槙野くんは困ったような顔でぽつりとそう呟く。
私はどういう意味かわからなくて首を傾げた。


「ううん。こっちの事」


槙野くんが小さく首を振ると、優しく微笑んだ。
よくわからないけど、槙野くんが納得してくれて少しでも自信を持ってくれたのなら嬉しいな。


「おはよ~!」


その時、背後から元気な声が聞こえてぽんっと肩を叩かれた。
後ろを振り向くと、そこに立っていたのは里緒だ。