「いつもは部活あるしね。そうしたら来るのはもっと早いよ」
「うん。知ってる。いつも楽しそうな声が聞こえて来るし」
「えっ、嘘。聞こえてるの?」
「そうだね」
嘘でしょ。私、結構騒いでいるんだけど。
それを聞かれていたかと思うと、今すぐ穴に入ってしまいたい気分だ。
「楽しそうでいいなあっていつも思ってた。僕は早く登校しても勉強してるか、読書してるかだったし」
「だから、槙野くんは頭がいいんだ」
「よくないよ。別に一番なわけじゃないし、平均より少しいいだけ」
「そんな事ないけどなあ」
いつも、学年全体で十番付近にいる槙野くん。
私からしてみたら、頭がいいと思う。
「でも、運動はからきしダメだし。芸術の才能があるわけでもないし。
勉強ぐらいはもっと出来ないとダメだよね」
「まだ気付いてないだけかもしんないじゃん」
私がそう言うと、槙野くんは目をパチパチとさせる。



