君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


翌日、学校に着いた私は槙野くんが来ているか確認した。
下駄箱に槙野くんの靴は……、ある。

槙野くんって登校するの早いなあ。


教室まで向かう足取りはいつもより軽かった。
廊下ですれ違う友達に元気よく挨拶しながら、教室の扉に手をかける。


ガラっと開けて、すぐに私は槙野くんの机の方を見た。
そこには想像していた通り槙野くんが座っていて、私の頬が緩んだ。


「槙野くん、おはよう」


そう声をかけると、彼は少しだけ驚いた顔を見せた。
だけど、すぐに顔を綻ばせて「おはよう」と返してくれる。



「槙野くん、来るの早いね」

「そうかな。藤さんも早いと思うよ」


まだ教室にはちらほら数人いるぐらい。
確かに私も早いとは思う。


槙野くんに会いたいから、今日はいつもより早く登校した。
それは絶対に言わないけど。