君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


『本当に?嬉しいな。あ、ご飯食べるところだったんだよね。
ごめん、もう切るよ』

「えっ、そんな大丈夫だよ」

『ううん。声が聞けただけで嬉しいから。
……また連絡してもいい?』

「うん。私も連絡する」

『ありがとう。それじゃあ、また明日』

「うん。明日ね」


通話を終わらせた私は、ケイタイを持ったまま床に倒れ込んだ。
目を閉じてケイタイをぎゅうっと握り締める。


はあ、もうドキドキして食欲なんかどっかいっちゃった。
ちょっとしか会話してないのに。


このまま槙野くんと一緒にいたら心臓もたない気がする。
大丈夫かな。私。


明日、学校に行くのが楽しみだ。
―――――槙野くんに会えるから。



朝、槙野くんに会ったら私から挨拶をしよう。
そうしたら驚くかな。槙野くん。

それを想像したらおかしくて、クスクスと一人で笑った。


よし。ご飯食べて勉強しよう。
学校に行く楽しみがあるのは嬉しいな。


体を起こすと、私は冷めてしまった夕飯を食べ始めた。