君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


「だって、これから人気者になるんでしょ?友達を作って連絡取り合うのに必要じゃん」

「……確かに」

「まあ、先生にバレたら没収されちゃうけどさ」

「没収されたことあるの?」

「な、ないと言ったら嘘になる」

「あるんだ」


口元に手を置いた槙野くんは、私の返答にクスクスと笑っている。

没収されたのは一度だけだし。
ないに等しいんだからいいんだ。
と、意味のわからない持論を展開させながら私は恥ずかしさから顔をふいっと逸らした。


「藤さんって本当に可愛い」

「はっ!?」


顔を逸らしたばかりなのに、すぐに槙野くんを食い入る様に見つめる。
照れなんてものは彼にないみたいだ。

涼しい顔で微笑んでいる。


「ねえ、ケイタイ番号交換したら僕と休みの日も会ってくれる?」

「えっ、そ、それはもちろん!」


動揺で声が上ずる。
急なアプローチはやめてくれ。

心の準備が出来ていない。
ドッドッと心臓の鼓動が速くなっていく。