君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】



昼休みになるまでの休み時間、私は里緒とずっと一緒にいて喋っていた。
その時間が近付く度に、ドキドキが増していく。



「瑠美子、購買行く?」


昼を告げるチャイムの後、里緒がそう尋ねる。
私は首を振りながら、「今日はパス」と言って教室を出てから体育館裏へと向かった。


正直、ドキドキで胸がいっぱいで何も食べられる気がしなかった。


体育館裏に槙野くんはまだ来ていなかった。
私は木陰に腰を下ろすと、彼を待つ。


数分とせずに槙野くんはやって来た。
少しだけ肩で息をしている槙野くん。

急いで来てくれたのだろうか。


「お待たせ。すぐに来れなくてごめん」


私の前まで来ると申し訳なさそうに言う槙野くんに、私は首をぷるぷると振った。


「私こそ、来てくれてありがとう」

「ちょっと驚いた。手紙」


へへっとはにかむ槙野くんは恥ずかしそうに頬を掻く。