君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


成績が上がったのは自分の部屋に引きこもって勉強したり、土日部活が終わったら図書館に行ってたからかもしれない。
あの家には一分だっていたくなかったから。


それに土日は千風もお父さんも家にいる。
仕事で忙しいお父さんだったけど、土日はなるべく家にいてくれた。

どうしても外せない用事で、家を空けたりもしたけど、それでも家族と過ごす時間を大切にしていた。


三人はよくどこかへ出かける約束をしていたけど、私は部活があるからって毎度断っていた。


動物園だとか、遊園地だとか、千風が喜びそうな場所。
私とはほとんど行く事がなかった場所。


羨ましくないといえば嘘になった。
でも、それで千風を憎んだりはしない。

千風は悪くないし、お父さんだって悪くない。
お父さんも自分と血が繋がっていないから、楽しませようと必死なんだ。


私なら血が繋がっているからわかってくれるだろうって。


直接言われたわけじゃないけど、そんな風に私は受け取っていた。


こんな捻くれた考えを持ったのは、紗奈さんに笑顔の攻撃を喰らってからだけどね。