君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


そして、お父さんと紗奈さんは再婚することになって、二人だと平気だったけど家族で暮らすには狭いからって新居に引っ越しをした。

紗奈さんは凄く優しかった。
千風くんも可愛くて、私も弟が出来たみたいで嬉しかった。


一緒に家事をしたり、色々紗奈さんに相談したり、本当にお姉さんが出来た感覚でいた。


ああ、本当にお父さんと紗奈さんが再婚してくれてよかった。
私は新しい幸せを噛みしめていたんだ。


それが変わったのは、去年のこと。
幼稚園に入った千風はもうしっかりとした足取りで私の後を付いてくる。

それが可愛くてよく一緒に遊んでいた。


紗奈さんが買い物から帰宅したから、片付けるのを手伝いながらご飯を作る。
何も変わらないいつもの風景。


食卓を囲み、三人で仲良く夕食を食べる。
和やかな雰囲気の中、千風が発した言葉で全てが変わってしまった。