「藤さん、大好きだよ、僕も大好きだから。ごめん。ごめんね」 「……、槙野、くん」 「ごめん、藤さん」 ぎゅうっと強く私の事を抱き締めた槙野くんは、耳元で何かを呟いた。 日本語じゃなくてうまく聞き取れなかったけど、これがもしかしたら槙野くんを殺してしまう呪文なのかもしれない。 最後に、彼は私に素敵な思い出をくれた。 きっと、大丈夫。 ――――私はまた彼に恋をする。