君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】



「瑠美子の意見を聞きたくて、どうだろうか」


窺うように私を見るお父さん。
そして、その隣で変わらず微笑んでいる紗奈さん。


私が再婚しないでって言ったらしないの?
しないで欲しいよ。
でも、そんなワガママ言っていいの?


ここまで育ててくれて、お父さんに感謝している。
まだ中学生の私はお父さんの保護が必要で、一人では生きていけない。

そんな私が言える事って、イエスだけじゃないの?
違うの?嫌だって言っていいの?


ぐるぐると頭の中をそんな思いが駆け巡る。
そんなすぐに決める事なんて出来ない。

今すぐに返事なんて出来ない。



「……瑠美子?」


黙っていた私を心配そうにお父さんが呼ぶ。それにハッとした。
だけど、どう答えたらいいかわからなくて俯く。


すると、ずっと黙っていた紗奈さんが口を開いた。