君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


「おにぎりも美味しいよ。中身に辿り着かないけど」


槙野くんがそう言いながら私が作ったおにぎりを齧る。
話が変わったことにホッとしながら、私は槙野くんを見た。

おにぎりしかないから、結構大きめに作っているんだよね。

だから、中身に到達しないのかも。


「……ん?」


もう一口食べた槙野くんはおにぎりの中身に到達したらしい。
眉を潜め、それを凝視していた。


「……これって、餃子?」

「正解~」

「餃子!?瑠美子、あんた何入れてんの」

「美味しいじゃん」

「そうだけど」


餃子と知った里緒はお弁当の中身を吹き出しそうになりながら、私に言った。
昨日餃子だったから仕方ない。

もう一個は普通にシャケにしておいたけど。



「ん。でも結構美味しいよ」

「いや、まあ、そりゃご飯と一緒に食べるし、美味しいだろうけど」


里緒は槙野くんの持っているおにぎりを見ながらぼそりと呟く。


お昼交換会は三人とも満足の結果で終わった。
いや、槙野くんに関しては優しさからかもしれないけど。


また交換しようねと約束をしたら、槙野くんは嬉しそうに笑った。