一度その場で溜息をついて、教室へと戻る。
教室に戻るまでの道で生徒に会うことはなく、窓から差し込んだ夕日が廊下を赤く照らしていた。
静かだ。
聞こえる音はグラウンドから聞こえる運動部の掛け声、打球が飛ぶ小気味良い音くらいか。
ぼーっとしながら歩を進め、自分の教室に入ろうとしたところで、放課後に似つかわしくない雑音が耳を掠める。
「ーーーーー……!」
隣の教室からだろうか。数人の女子の声と、机をひっくり返したような轟音。
喧嘩か?
なるべく面倒な事には巻き込まれたくはないが、靴箱へ戻るにはその教室の前を通らなければならない。
