「やだ、鶴長くんまで西宮さんの話?」


クラスの女子だ。
数人集まって机を囲んでいる。

キツい香水の匂いが鼻を掠めた。



「いや……うん、まぁ」


ああどうでもいい、そう思いながら気怠く返すとあからさまに女子達の顔が歪む。



「鶴長くん、あの女はやめといた方がいいよ」

「そうよ、あんな女に騙されちゃだめ!
鶴長くんまでとられたら堪ったもんじゃないわ!」

「……」


転入してきて一週間でこの言われようとは。
西宮さんは一体何をやらかしたのだろうか。

別方面での興味が湧いたでもないが、返しに困っていると、「ストーーップ!!」と辻崎が豪快に間に入る。


「ゲッ!ちょっと何よ辻崎!」

「おいおい女子〜西宮さんがめちゃくちゃ可愛いからって僻んでもしょうがないぞ!」

「なっ……!」


うざ、と言わんばかりの表情を浮かべ舌打ちして去っていった女子達に、辻崎は悠々とした笑みを浮かべた。