呼吸をとめたピエロ

「心配して損した」

「嘘や、心配なんてしてなかった」

「してたしてた」

「適当な人やなぁ」

溜息をついて呆れる西宮。

無機質な人形のようだと思っていたが、案外コロコロと表情が変わる彼女は見ていて飽きなかった。

あの貼り付けたような笑顔は、きっと一種の防衛だったのだ。

関わるなという線引きと、噂に踊らされる奴らを馬鹿にした笑も込められていたに違いない。


「でもまぁ、初めて言われたわ。やり返せなんて。みんな一方的に私を悪者にしはるからなぁ。別にええねんけど」

「良くないだろ」

「そう? なら、鶴長くんが味方してくれる?」


試すような、挑発的な目。
この目が苦手だ。全て分かった上で問いかけてくるような、見透かしたような目。



「……気が向いたら」


こうやって男は女に手篭めにされるんだな。
身を以て体験した俺は、今日一番の大きな溜息をついた。