呼吸をとめたピエロ



「西宮さん、だっけ? 話を聞いている限り、この傷は故意的につけられたものかしら。誰が犯人だとか心当たりはないの?」

「……ありません」

「本当? 口止めされてるとかではなく?」

「はい」

きっと、心当たりが多過ぎるのだ。

西宮自身の知らない所で噂は広まり、そして手のつけられない範囲にまで及んでいる。


「とりあえず処置は終わったから。
傷口が塞がるまであまり動かしちゃダメよ」

「わかりました。ありがとうございます」

「うん、よろしい」


にっこり笑った先生に、微笑み返す西宮。
その光景になんとなくホッとする。