少し薬品の匂いが鼻につくその部屋の主は、今日も不在らしい。

大方いつも通り喫煙所にでもいるのだろうが、保健医として如何なものだろうか。なんて考えながらも、そんな奴が保健医だからこそ、保健室に自由に出入りできているわけだから文句は言わない。


「はーーーー」


ぴっちりと張り詰めた白いシーツにわざと飛び込み、大きく深呼吸をして目を閉じる。


保健室のベッド。
ここが俺の一番落ち着く場所だ。

煩わしいことを何も考えなくて済むこの白い部屋はやはりいつもと変わらない。


ここにいると、西宮の噂話も届かない。